詫び石とマクロ経済学
詫び石という言葉を初めて聞いたときは、わびさびの意味の「侘び石」だと想像したので、日本庭園に理解のある徳の高い人が登場したのかと思った。まさかソーシャルゲームの運営補填アイテムのことだとは考えもしなかった。ネット上での新語・造語って面白い。
私はPCオンラインゲームに詳しくないので、昔から運営補填アイテムをユーザーは求めていたのかについては知らないが、ソーシャルゲームでの詫び石文化には少し驚かされた。メンテナンスが延長した場合、お詫びとしてアイテムを割りと簡単に貰える。
「詫び石文化なんてみっともない」「海外にはそんな文化ないぞ」「貰えるものは貰っておこう」等の意見がネット上では散見され、是非について語られているが、今日は少し異なる視点で詫び石文化について眺めてみる。
マクロ経済学には以下の有名な公式がある。
GDP(国内総生産)=消費C+投資I+政府支出G+(輸出X-輸入M)
これをソーシャルゲーム内で考えると、
ゲーム内総生産=課金C+拡張機能投資I+運営支出G
という公式ができる。(もっといい式があれば是非ご指摘ください)ゲーム内の経済成長の鍵は、この式の右辺側の各要素が増加するかどうかにある。詫び石は運営支出Gに該当する。簡単に言えば、詫び石は公共投資である。1999年に実施された地域振興券のようなものだ。
しかしながら地域振興券はGDPを増加させたものの、個人消費を十分に後押しする結果とはならなかった。貯蓄にまわされたことも多かったそうだ。ソーシャルゲーム内でも運営は詫び石が課金を後押しすることを期待していると考えられるが、果たしてその実情はどうなのであろうか。
多くの作品タイトルが生まれては消えていくソーシャルゲーム業界、生き残りの要素とは何なのであろうか。